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  • 執筆者の写真makoto kuroda

庭のあるべき姿を探して

本来、庭のあるべき姿とは一体何なのだろうか?と、最近毎日考えています。

植木屋という仕事上、毎日色々なお庭に入らせて頂きますが、庭というものは本当に持ち主様の考え方によるところが大きいと思います。

ある人にとっては庭は癒しの場であるかもしれないし、ある人にとっては庭は権力の象徴なのかもしれない。また、ある人にとっては厄介なものかもしれないし、思い出の場所なのかもしれません。


僕が庭作りのお仕事を頂いた時に、お施主様にアイデアがある場合、話は割と早く進みます。

難しいけど面白いのは全て任して頂ける時です。お庭という動くものをデザインする難しさ。

まずはお施主様のライフスタイルや趣味などのお話を聞かせて頂く事から始まり、その上で、やはり頭の中で、本当に、本来の庭のあるべき姿とは一体何なのだろうか?と自問してしまいます。

庭はお施主様のものです。我々はお庭を美しく維持していくためにお手伝いさせて頂くだけだと僕は思っています。

その中で我々が植木を植え、植木の手入れをする事によって、お施主様が、しいてはその街が何を得るのか?

また、その事によって我々にはどんな利益があるのか?

環境問題やサスティナビリティを皆んなが考えなければならないこの時代だからこそ、町の植木屋でもそのくらいは考えなければいけないと思っています。


除草の問題もあります。狭い場所ならば防草シートに砂利、人工芝などでも良いですが、難しいのは広い場所です。手間や予算を考えると除草剤を撒くという行為は一番効率的なのかもしれないです。ですが、本当にそれで良いのでしょうか?草があまり生えないように、中高木で日陰を作ってあげたり、木が植えられないような所はグラウンドカバーを植えてあげることだって提案出来るのです。そうやって緑と共生できる庭、しいては街づくりを考えていかないとどんどん緑が減ってしまいます。面白いアイデアとしてはヤギを借りてきて除草作業を手伝ってもらうという事例もあります。東京ではなかなか難しいかもしれないけど。


話がそれましたが、結局、誰もがお庭に求めているのは、自分である程度手入れが出来て、尚且つ一年を通して四季を感じられ、夏は木陰を作り涼しく、冬は葉が落ちて陽が差し込み暖かく、草はそこまで生えず、季節になれば花が咲き、実もなる、そんな健康的なお庭だと思います。ですが、それにはメンテナンスは確実に必要です。それこそが植木屋の仕事です。もちろん過剰な手入れは必要ありません。庭全体を俯瞰で見る。お庭のもともと持つ生命力を乱さないちょっとした手入れ。それが理想です。


その為には、そもそも今のままの剪定方法ではどうなのかな、とも思います。もっともっとクリエイティブで、且つプリミティブな剪定。


イチロー曰く、プロになるという事は自分の出来ない事と向き合う事。


僕ももっと自分の仕事に向き合おうと思っています。


黒田


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植木屋 ver2.0

はじめまして。TREEWORKS黒田です。練馬区の石神井で街の植木屋として仕事をしています。 長い間この仕事をしていて思うのは、こんなにクリエイティブで可能性に満ち溢れている仕事なのに、何か勿体無い気がするということです。現在、住宅にはどこも同じような木が植えられ、ひどい剪定方法で無茶苦茶に切られています。落ち葉が原因で樹齢何十年という立派な大木が次々と伐採され、木と共に自然の中に生きるというライ

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